スモールベースボールからの脱却。「犠打シーン」にみる小久保ジャパンの変貌
過去最高の数字を誇る侍ジャパンは何がかわったのか。
山本昌が「歴代最強」と呼んだ打線
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)開幕前こそ数々の不安要素を指摘されていたものだが、今となっては違う。「日本はやっぱり強い」。このひと言に尽きる。
躍進を遂げる一番の要因を挙げれば、間違いなく打線になるだろう。投手出身の野球評論家の山本昌ですら、以前から感嘆の言葉を漏らしていたものである。
「メジャーリーガーが参加しないとしても、僕は今回のメンバーは『歴代最強』だと思っていますよ。特に打線は、過去3大会を振り返ってもナンバーワンじゃないですか? 中田(翔)、筒香(嘉智)、山田(哲人)、坂本(勇人)、秋山(翔吾)、菊池(涼介)……。ラインナップを見ただけでも、冗談抜きで歴代最強と言えますよ。僕は日本代表が発表されると、毎回『投手・山本昌』として対戦のシミュレーションをするんですけど、以前までの代表は『調子が万全なら抑えられるかもしれない』とイメージできました。でも、今回のメンバーは僕が絶好調でも抑えられる自信がない。それくらいすごい打線です」
投打の軸と期待されていた日本ハムの大谷翔平と、扇の要であり「打てる捕手」でもある楽天の嶋基宏が、故障により代表メンバーから離れたことは大きな痛手だ。それでも、DeNAの筒香と日本ハムの中田が持ち味の長打を発揮し、大会に入り正捕手の座を掴んだ巨人の小林誠司にいたっては、覚醒と言えるほどのパフォーマンスを披露する。
確かに「歴代最強」なのかもしれない。事実、過去のWBCでの打撃成績と比較することによって、それがより鮮明となる。
第1回(2006年)
6試合 44得点(1試合平均7.3得点) 63安打(1試合平均10.5本) 8本塁打
第2回(2009年)
7試合 36得点(1試合平均5.1得点) 67安打(1試合平均9.6本) 4本塁打
第3回(2013年)
6試合 43得点(1試合平均7.2得点) 59安打(1試合平均9.8本) 8本塁打
第4回(2017年)
6試合 46得点(1試合平均7.7得点) 67安打(1試合平均11.2本) 10本塁打
(※2次ラウンド終了時の成績)
得点、安打数、本塁打、1試合あたりのアベレージ全てで過去最高の数字を叩きだす。その背景には、一発のある筒香と中田を核としたことで攻撃的となり、打線の選択肢が増えたことが挙げられるだろう。
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